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虫歯治療後にも痛みが残るのはなぜですか?

歯科医師のノキ田です。
むし歯の治療を終えたのに軽い痛みを感じたり、しみたりする経験をしたことはございませんか?
今回はそのようなむし歯の治療後の痛みについてお話ししたいと思います。

“治療してもらったはずなのにまだ歯が痛いなんて…。”
「むし歯がまだ残ってるんじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
しかしながら、”むし歯が残っているから歯がしみる、痛みを感じる”というわけではないのです。

では、なぜ治療を終えた歯が痛みを感じる事があるのか?
それは、むし歯の深さによっては詰め物と神経の距離が近くなり噛んだ時の力や熱などによる刺激が神経に伝わりやすくなっているからです。
また、金属の詰め物・被せ物が入っている場合、金属は歯と比べて熱を通しやすいので刺激を感じやすくなります。

それでは、深いむし歯治療をした歯はずっとしみ続けるのか…。
大半の場合、そんなことはありません。私達人間には適応能力というものが備わっています。もし、歯の神経が刺激に頻繁にさらされている場合、神経の内部に歯と同じ様な構造(第三象牙質)を作り刺激から神経を遠ざけようとする働きがあるのです。
この第三象牙質ができてくると、徐々にしみる感じが弱まってきます。個人差はありますがこの第三象牙質ができる期間は数週間から半年以上・場合によっては1年以上もかかる場合もあります。

そんなに長くしみるのなら神経をとって痛みをすぐに取ればいいのではないかと考えられる方もいらっしゃると思います。
そもそも神経を通じて歯に栄養が供給されているため神経を取ってしまうと栄養が供給されなくなりもろくなってしまうのです。
枯れ木を想像していただければわかりやすいと思います。生きている木に多少力をかけてもびくともしませんが、枯れ木に力をかけるとすぐに折れてしまうというような経験をしている方は多いと思います。
歯も同じなのです。そのため私達は簡単に神経を抜きたくないのです。
もし、治療後に軽い痛みやしみるといった感覚を感じる場合、熱いものや冷たいものをできるだけ避けて、あまり神経質にならずに気長に治るのを待ってみて下さい。
ただし、1~2週間ほど経過しても改善がみられない場合や夜も眠れないほど痛くなる場合は一度相談して下さい。

場合によっては神経を取り除く治療が必要となってくる場合もあります。何か心配事などがあればいつでも相談して下さい。皆様のお役に立てれば幸いです。