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酸蝕歯とは何ですか?

歯科医師の森下です。

虫歯によって歯に穴が開いたり、歯ぎしりによって削れたりすることが
あるということはよく知られていると思いますが
歯が溶けてきてしまうこともあるというのはご存じでしょうか?

歯は酸によって溶かされてしまうことがありその症状は
歯の酸蝕症と呼ばれています。
虫歯がなくても、生活習慣によっては歯がボロボロになってしまうことがあるのです!

では、どういった場合に歯が溶けるほどの酸にさらされるのでしょうか?
以下に歯の酸蝕症の原因を挙げます。

①飲食物によるもの

飲み物や食べ物の中には酸性度の高いものがあり
これを習慣的に摂取することによって歯の酸蝕症を生じることがあります。
この場合、摂取の仕方や時間帯が症状に大きく関わってくることが分かっておりおり
長時間口の中にある方が酸蝕症を引き起こしやすいです。
また、就寝前に摂取した方がリスクが高いと言われています。

②胃の内容物の逆流によるもの

お酒の飲み過ぎや車酔いなどによる一時的な嘔吐では
歯の酸蝕症に至ることはありませんが
摂食障害にみられる習慣的な嘔吐は酸蝕症の原因となります。
また、妊娠時の悪阻がひどい場合なども歯に影響が出ることがあります。
嘔吐までいかなくても、口の中に胃の内容物が上がってくるだけでも
歯は酸にさらされてしまうため、胃食道逆流症でも歯の酸蝕症を認めることがあります。

③唾液分泌の低下によるもの

唾液は口の中の酸を中和する働きがあるため
これが減ると歯の酸蝕症のリスクがあがります。
寝てる間は唾液分泌が減るので、就寝前の酸性飲料摂食のリスクが高いのはこのためです。

④特定の職場環境によるもの

酸性のガスやミストを吸引する可能性のある工場等で働いてる場合
歯に酸が作用して溶けてしまうことがあります。

溶けてしまった歯はどのように治療するのでしょうか?
これは普通の虫歯と同じく、プラスチックの樹脂でつめたり
被せものを作ったりして歯を元の形に修復します。

ただし、原因を取り除かなければ残った歯がどんどん溶けていってしまうので
それぞれの原因を特定した上で、その原因に応じた対応をする必要があります。

①飲食物によるものであれば食事指導

②胃の内容物の逆流によるものであれば
指導や適切な医療機関への紹介

③唾液分泌の低下によるものであれば
さらに唾液分泌減少の原因を特定した上での対応がそれぞれ必要になってきます。

歯の酸蝕症の場合は進行すると知覚過敏を招いたり
歯が一度に複数ボロボロになってしまうこともあります。
痛みは無くても見た目が悪くなったり
歯ぎしりによるすり減りを加速させたりしますので
定期的な歯科の受診などでお口の中を全体的に見てもらうことをおすすめします!

酸蝕症の原因

酸蝕症の原因として大きく分けて二つあります。

①内因性

胃食道逆流症候群
胃の内容物が種々の原因により食道を逆流し胸焼け呑酸(口腔内の酸味)などの症状が生じます。
ひどくなると食道粘膜がただれる場合もあります。phの低い胃酸によって歯の表面が溶かされます。
一方拒食症、過食症に代表される摂食障害は心理的要因によるもので嘔吐を繰り返すことにより、歯は胃酸による侵食を受けます。

②外因性

歯はphが4以下の環境下で溶けるとされておりますが、私たちが日常的に摂取する飲食物にはこのような酸性食品がたくさんあります。
特に注意しなければならないのが、オレンジ、レモン、グレープフルーツといった柑橘類です。
柑橘類には歯を強力に溶かすクエン酸が多く含まれており、例えば柑橘類を1日2個以上食べる人では、食べない人に比べて酸蝕症になるリスクが37倍であると報告されています。
その他コーラなどの炭酸飲料、スポーツドリンク、ジュース類も酸蝕症の原因になります。

酸蝕症を少しでもご理解いただけましたでしょうか?
酸蝕症から歯を守っていきましょう!!

酸蝕歯になるとどうなるの?

酸蝕歯になると

歯の表面のエナメル質がうすくなってしまうため

  1. 知覚過敏の原因
  2. 歯の表面性状が変わる(歯がひび割れたり、丸みを帯びた形に変化してしまう)
  3. 歯が黄色っぽく見える(歯が薄くなって、すぐ下の象牙質が透けて見えるため)

エナメル質が薄くなってしまうとなかなか元には戻りません。
象牙質が出てきてしまうことで知覚過敏になりおいしく食べられないことにもなりかねません。

酸蝕歯をチェックしてみよう

今回は酸蝕歯のチェック方法をお伝えしたいと思います。

酸蝕歯の初期症状として

  • 熱いもの冷たい飲み物がしみる
  • 歯の表面がなんとなく丸い感じがする
  • 歯が黄色い感じがする

当てはまる方はいらっしゃいますでしょうか?

酸蝕歯が進むと

  • 歯がより黄色い感じがする
  • 歯の先端が透けて見える
  • 知覚過敏になる
  • 歯の表面に小さなくぼみができてくる
  • 昔の詰め物がいきなりはずれてくる

あてはまる方、これってもしかして私かもと思われた方、西尾歯科にお越しください。わからないこと、不安なことすべてお答えいたします。